なぜドラえもんはドラえもんズのリーダーなのか
ドラえもんは不良ロボットである。工場の製造段階でネジが一本抜け落ちてしまったためだ。
そのため、セワシの家にお手伝いロボットとしてやってきてもへまばかり、自分と瓜二
つに製造されたほか多数の優秀な(不良品でない)ロボットたちと自分とが違うことに
深く落ち込み、劣等感を抱く。ネズミロボットに頭の耳をかじられ耳は取れるは、終い
には元気の出る薬と間違えて、落ち込む薬(自分で出した)を飲んで、何日も激しく泣
き叫び続け、そのために声は枯れ黄色い塗装は剥がれ落ちてしまう。
結局のところ、ドラえもんは「醜いアヒルの子」とほぼ正反対の経緯を経て今に至るのだ。
ドラえもんは落ちこぼれの劣等者である。しかしその事実は、むしろドラえもんをドラ
えもんたらしめている。一番重要な要素であるともいえる。
ドラえもんは、本来大量生産品の中の1個に過ぎないはずだった。彼は自身のからだに
何の疑問も持たず、セワシの家で便利なお手伝いロボットとして使われていくはずだった。
しかし
偶然にも、一個のネジという欠損により、彼はその他大勢と区別されることになる。
ドラえもんは悩まなければいけないという宿命を持って、完成させられてしまう。
このネガティヴな差異は、しかし、ドラえもんのこころを育む最大の要因になる。彼
は不良品であったからこそ悩み、自らの劣等感を昇華させる形で己独自のアイデンティティを築いてゆく。
ドラえもんはドラえもんであり、この、悩める「ボク」自身でしかないと自覚される。
『頭テカテカ 冴えてピカピカ それがどうした ボクドラえもん』
ちゃんちゃん♪
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