かげろうの凝りて白き飛行船
遣り水を追いかけていく空に舟
熱射病の街を漂う船と霊と
カン蹴りの遠近法や空に舟
ゆっくらと空のぼりゆく飛行船何も思わで遊ぶ子は無し
天辺の広告板は身を翻(かえ)しゆっくりと描く色即是空
蝉しくれ切り取り結び投げ遣るに天の一方を飛行船逝く
深々と宇宙の闇を蓋(おお)うほど不透明かよ恒星の灯は
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森にひぐらし町にあぶらぜみ精霊会(しょうりょうえ:お盆のこと)
精霊送る山にひぐらす言葉たち
精霊を送りし故郷(さと)に蝉時雨(しぐれ)かな
風立ちね虻一匹の雨宿り
兵(つはもの)や雷(かみなり)黒き雨持って来(き)
どうと打ってまたかしこまる雨ごもり
夕立や耳目鼻(みみ・め・はな)白くけぶらせ
青かびの匂い起こして通り雨
遠雷や3秒すっとばして鳴り
遠雷や光しもせで腹下し
遠雷や突然アブラゼミの鳴く
あぶらぜみ黄色き雲の忽然と
夕立や湯気立つ身体(からだ)の夢見がち
べったりと屋守(やもり)張り付く低気圧
肉薄すスズメガの夜ひるがえし
さ夜ふけて蝉くつがえるタオルケット
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