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沼池(ぬまち)

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小説・のようなもの

ここ2年くらいの間に書いて、ドライブの肥しとなっていた小説2遍を公開しました。
どちらも中編程度の長さです。ところどころ破綻? が見られるかもしれませんが、良かったら読んで下さい。
以下、リンクとさわりを載せておきます。

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『麻織真也は彼が距離を測る』(https://note.mu/yoshiwoemon/n/nb246aba4ea7c

 俺はカラスの食事の邪魔をしないようにその場を立ち去ったが、彼は妙な二日間だったと思った。彼もやがてはああいう風になるのかと思う。別に悪い気持ちはその時しなかったがなんとも言いようが無い。ただ食事は、生と死との接する場であった。海もまた、幾多の死骸のスープと言えた。そうそう、俺はその少し前に岩場へもぐり込んで小さな巻貝の殻を砂からうずもれていた奴を手に入れたら中には砂と一緒に蛆が、湧いていたのだ。生きている巻貝かと思ったのは生きているのは蛆で、本来のは腐肉になっている。麻織真也は考えても見れば当然の事だが、食事は死を食っている。それだから生きるのだ。


『どこにもいないうちへ』(https://note.mu/yoshiwoemon/n/nd06a3d2f26b5

 うっすらとゆらめいて、始めは顔だ。顔からどろどろとしたうすくらがりがほとばしる。続いて全身へと、うすくらがりはひろがって、私は透明になってしまう。隣の居間では父と母とがまた言い争いをしている。父が母をなじる。嘲笑う。母は腐った死体のように膨らんで、ものも言わない、ただ異臭だけを放ち続ける。私は透明なうすくらがりとなって彼らの声を透き通す。私は部屋の冷気と一緒になって、やがて部屋そのものとなる。私は音を発しず、見開く目を持たず、臭わず、熱されず、湿りもしない。すき通った、彼らの声が遠ざかる。彼らの音は木々のざわめきよりももっと小さくなって、私は溶け、やがてそこは部屋、空気、音、それからうすくらがりだけになった。


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