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沼池(ぬまち)

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杉浦日向子『狼の眉毛の話』(『百物語』所収)及び民話『狼の眉毛』について、ノート


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(断片)

刃物とは、人を切るためではなく紙を切るためにあります。
ですが、人を切ることもできます。
そうしたとき、刃物は悲しかろうか?
いや、少なくとも俺がかなしい。
人が一人悲しんでいるのです。
実は2人。
俺と、あなたと、あなたを生んだ人。あなたを見つめて、いなくなってしまった人たち。

あなたが愛されたいと思うとき、
刃物に身を任すのは、あなたの悲しみがふかいからでしょうか。
そうではなく、ゆうべのベーコンの味がまずかったから、といった理由で、あなたはあなたの刃物を鏡に見立てているのでしょう。

ノート:M・エンデ『モモ』からの着想



 タタタタタタタタ。駆けて来たのはMomo。(これがこの物語の主人公の名前。覚えておいて! 上唇へ下唇をくっつけて、鼻の内側を響かせながら口から――ォと息を出す。それを2度。も。も。)
 辺りは草、草、草。Momoは耳をすます。耳をすます。

 耳! 耳!
 すると――
 花!

 Momoはにっこりと笑って花を見つける。彼女はくしゃくしゃの頭を揺らして、花へしゃがんだ。じっと見、じっと見る。
 ――こんな夜ふけに、どちらから?
 花は風にさらさらとゆれる。
 さらさら。さらさ、らさら、あっ――
 雨粒。
 見上げたMomoの顔に、霧雨のしぶきがかかる。さらさら。さらさら。
 かぶりを振ってMomoは立つ。未明の空気は、ずいぶん冷えているが、Momoは平気だ。じょうぶなコートをはおっているから。鼻の頭は赤くして、少女は見回す。
 くらやみ。くらやみ。くらやみ。くらやみ。じっと耳をすます。さ、さ、さ、さ、さ、さ、さ、さ、さ、さ、さ、さ。
 「! くしゅっん!!」
 袖口で洟をかんで、Momoは再び駆け出す。

(訳)mum『finally we are no one』より

彼は僕の親指をにぎって、そこから連れ出した。これ以上そこにいる理由もなかったけれど、僕はためらっていた。
 「他の人たちを見つけなくちゃ」と彼は言った。彼は僕と目を合わせようとしなかった。僕たちは草原に入り、ボロ小屋を周って川へ下りた。ある理由から僕は一度もそこへ下りたことはなかった。
 僕たちはコンクリートのトンネルに入っていった。暗いけれど暖かい。
 音の一部が天井から漏れ聞こえていた。いまや、あの音楽が、また。彼は腰を下ろし、僕がそうするまで待った。
 「これで、僕らは誰でもない」と彼が言った。

(芸術鑑賞ということについて)

① 空間・構造が正確に把握されているか
(創造すべきものについて真摯な姿勢で取り組めているのか。手を抜いてはいないか)

② 作品を通して思想・価値観のようなものをかんじられるか
(イメージの魅力のみで描かれていたり、単なるグラフや広告・プロパガンダであったりしないか)

③ 制作された時代にふさわしい、またはそれを超え得るような認識があるか
(作家は自身が生きている時代と向き合って、それを考えながら生きているのか。自己欺瞞はないか)

④ 時代・世間・自我にとらわれてはいないか
(作家は、自分とそれを取り巻く環境を認識したうえでそれを超えようとしているのか。無意識を信頼しているか)

⑤ 現実を重層的・多角的に認知しているといえるか
(一面的・妄信的になっていないか。「分からない物は認めない」「見たくない物は見ない」という姿勢ではないか)

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